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2010年06月05日

「パバーヌとグノシェンヌ」(フィクションです)

黒い歌謡曲007.jpg


「えぇーうっそー。いやぁっーだ。しんじられない。
この人。がっかりだゎ。」

取材を依頼しておきながらいきなり初対面の男の鼻っらでこんなセリフを吐くこの女の精神構造はどうなってるんだ。親の顔も見せて欲しい。
いつの時代もファッションに分類されるものにはこぼした香水のような過剰臭があるが、
バブルが浮かび始めたあの頃のファッション雑誌の世界では
彼女のような灰汁の強さがユニークな才能と勘違いされ一目置かれているのかもしれない。
大きな声を出せば注目された時代だ。

その女の第一声でいきなり及び腰になりながらも目前の女を見直してみると、
おっ、と一見身構えるほどの美人系の顔立ちだが
歯並びの悪さや鼻の曲がり方に心根のゆがみが感じとれる。
しかも粋がって斜に構え日陰で生きる女たち特有のかび臭さまで漂わせているとあっては、
もちろんこの先匂いを嗅ぐのはごめんこうむりたい。

惚れっぽいが男にはいつも遊ばれてしまう性質を小見出しのような言葉遣いと最先端ファッションで防御するコンプレックス過多型我が侭躁鬱ブツブツタイプかもしれない。

で、一転、カメラをパーンさせればここには女の腐った男が映り込んだ。
声を押し殺し脳内愚痴を連続嘔吐する二枚目気取りの気取った奴。
影では、

”つっころばし”とか”へたれ”のレッテルの張られた部類だからこれも始末が悪い。

安っぽいプライドを傷付けられた腹いせに相手を貶める姑息な態度は相手を落とせば落とすだけそんな女に最悪と言われてしまうもうどうにも誤摩化しのきかないジレンマを何処に持って行っても馬糞の川流しだ。っつうの。

だからといって無理矢理気分を変えようと酒や草に頼るのはかえって傷口に塩を壁にシンナーを塗り込むようなもので下手をするとバッドトリップを誘発しとことん立ち直れなくなる。

やっぱりストレスにはセックスだ。

これは、197○年頃の話だ。

シーンは変わって、

四十度近くある熱にウナセラディ東京タワーする股間に女を跨がせ小さな死と引き換えに女の心を手に入れようと懸命に欲望の運動がつづく。

どんなに激しく思いを擦って擦ってもことが終われば

「そんなに絞り出さないでよ」

グノシェンヌ女に、軽くメンチを切られた。

空虚だ。どうしても手に入らない。なにも手に入らない。
嫉妬で灼熱地獄。暴走を冷ますものはアレだけだ。

またしても、197○年頃の話だ。

なんにもないからなのか、パバーヌとグノシェンヌたちは、
いくらでもそれが出来たのだ。
快感はあるのだと思う。男の気持ちも分かるのだと思う。
しかしいくらでもだれとでもかぎりなく気がつくとしてしまう
パバーヌ女とグノシェンヌ女なのだ。
しかもパバーヌ女は塩を吹く。世に言う塩ふき女だ。
ほら水商売の店の前に時々見かける御猪口を逆さまにした塩の山。
女の叉の間から塩が出る。なぜだ?謎だ。
悪霊退散か?千客万来か?

そんな女になぜか男は狂う。破滅する。あきれるほど繰り返す、197○年頃の話だ。

つづく。

黒い火曜曲007.jpg

黒い歌謡曲

投稿者 moichi : 2010年06月05日 13:36

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