2009年07月11日
いったいどこがどうしたというのだ。

漱石全集 第十一巻
こころ 他
昭和35年7月25日 初版発行
定価 二六〇円
書作者 夏目漱石 発行者 角川源義
どこで手に入れたか忘れるくらい昔に入手したカビ臭いが佇まいが落ち着いているので拾い読みし始めたら
漱石の書簡集に目を奪われ凸所アラジンのランプを擦ったかのように
昔の日本人が現れた。
不列がないのが天才の特徴であろうが、
物言いに無駄がなく
ビンタをかますような批評が
誠に愉快なのでここに紹介する。
七一 漱石の戯曲評
七月二十八日(火) 午後一時ー二時 牛込区早稲田南町七番地より
芝区三田四国町二番地一号小宮豊隆へ
拝啓 中央公論の脚本の批評を時事で拝見。
だいたいのうえ賛成ですが、出来栄の等級がついていないから、
どれもこれも同程度に下らないように思われて好い作者に気の毒です。
白鳥のは及第(ただし尻がまだあるべきはずのを切ってしまった感あり)。
雨雀 これも及第 おそらく自然でいちばんまとまっているだろう。
吉井 勇 及第 これには一種の面白味がある。
秋声 まあ及第。 脚本よりも小説にすべきもの。
中村吉蔵 落第 あゝ拵らえた痕迹が見え透いちゃ気の毒だ。
長田秀雄 落第。これは君の評どおり、たゞ劇的効果ばかりねらって内的の力なし。
田村俊子落第、あんなものは芝居にならぬのみか男子が屈辱を感ずるようなもの。
木下杢太郎 落第 つまらぬ事夥し。
島村抱月 落第 河童の屁。
武者小路 及落の中間。 いつもより悪いかもしれず。
久保田万太郎 まさに落第 ごちゃごちゃごちゃごちゃ。
上司小剣 落第 いったいどかが(ママ)どうしたというのだ。
小山内 薫 落第 これが芝居になるつもりか、つもりならやってみろ。
以 上
七月二十八日 夏目金之助
小宮豊隆様
昔の優れた日本人は甚大に素敵だ。凛として全身に曇りがない。
まるで怒っているようにもみえるが、紳士に真摯に批評しているのである。
誠に誠が美しい。
真面目な人の姿は実に愉快だ。
ひとのまじめな姿に勝る笑いなし。
臍下腎間の動気は、人の生命なり。十二経の根本なり
丹下呼吸がいいらしい。ですぞ、ご同輩。

またしてもサボテンに花が咲いた。誠に不気味だ。
投稿者 moichi : 2009年07月11日 18:24
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