ニューヨークで感じたafter311 Yuri Shimojo Special interview

鶴プロジェクトについて
-どのようにしてはじまったのですか?
311直後は、日本との距離(地理的なもの以上に、入ってくる報道、それ故の認識の違い、様々な距離感)からくる孤独感、そして自分がどれだけ母国を愛する日本人かというアイデンティティを主張したくなりました。離れれば離れるほど、“自分のルーツ”を意識する感覚です。遠くにいるからできないことを悔やむより、遠くにいてもできることをしました。たとえば浜岡原発停止の嘆願書を英訳して世界中に送ったり。「NYのアーティスト」という立場では、当時あらゆるアート・オークションのイベントがあり、わたしも絵を寄付し、チャリティーにいくつも貢献しました。でもあの時に一番忘れられないことと言えば、友だち、知り合い、道ですれ違う人、お店の店員さんまでもが「日本人か?がんばれ!」「なにかできることはないか?」と声をかけてくれ、関心と応援を贈ってくれたんです。山ほどある泣けるエピソード、すべて伝えたいくらい。そんな時でした、鶴を折ろうと誘われたのは。お金がなくても、有名なアーティストじゃなくても、子どもから老人まで、気持ちさえあれば誰でも参加できること、それは鶴だ!origami peace birdだ!と思ったのです。震災から1週間後、ほぼ初対面の8人が、泣きはらした目でブルックリンの近所の公園のベンチに集まったのが、鶴プロジェクトのはじまりでした。
鶴プロジェクト Tsuru Project
折り鶴を通してニューヨーカーに日本を伝え、世界からの応援を日本へ贈る復興支援活動
http://tsuruproject.wordpress.com/
-鶴プロジェクトへの想いをお聞かせください。
全員NYでアートに携わる大和ナデシコという立場から、日本の文化的&精神的なアプローチと優しさ、そして美しさを大切にしました。日本、家族、友だちが心配で、だれもが絶望感と孤独感に追いつめられていた時に、こうして『みんなで一緒にただひたすら鶴を折って祈る。世界の人たちの想いを末永く日本に届けたい』という単純だけれど純粋な行為が、どれだけそれぞれのメンバーをも救ったか。日本の人たちを応援しながら一番助けられたのは自分たちかもしれません。震災を通じ、おなじ気持ちを分かち合い、家族のような絆をつくったわたしたち、夏にはNYで七夕祭りもしました。震災後、みんなで鶴を折るという癒しの行為にはげまされて「独りではない」から「一人ではできないこと」へ。鶴姫それぞれにいろいろな想いがあります。そして元気になったわたしは「ひとりでもできること」アーティスト個人の声を発する勇気をもらいました。
下條ユリとYuri Shimojo
ここ15年ほどは、Yuri Shimojoとして海外の活動がメインでした。googleしてみると、下條ユリとYuri Shimojoの情報量の差、内容の差、時代の差が歴然と現れます。まったく別の存在みたい。意図したわけではないんだけど、たぶんそのふたりを同一人物として知る人は少ないと思います。
生い立ちの記『ちいさならくがき』が数年前に復刊された他は、しばらく日本で活動をしていないため、下條ユリの情報はほとんど10年以上前のものばかり。タイムトリップするように奇妙です。その間に日本はブログが盛んになり、人々のプライベートには登場させてもらってるんですけどね。今回「下條ユリっていったい誰?!」って検索した人は、謎の正体(?)にわけわからないことでしょう。ま、dictionary だから「あ、ユリちゃん、懐かしい!」と東京90年代までの不良趣味人界隈が思い出してにやにやして下されば光栄ですけど(笑)。
2000年以降は、Yuri Shimojoとしてブルックリンとハワイの秘境を拠点に、精魂すりへらし恋愛に翻弄する、わがままにボヘミアンで罰当たりな生活を送り、言葉にできぬ感情と向き合うために絵を描いてきました。Barnstormersというアート集団の一員でもありました。東京の90年代、ブルックリンの2000年代と、『続・ちいさならくがき』書いちゃったらそりゃまたもう濃くなります(笑)。
しもじょうゆり、本名は’理が有る’と書くんです。なんか下條有理って字面、不条理に見えません? それ、けっこう気に入ってます。震災前、“たまたま”ご先祖さまに「『武士道』を読め」とお告げを受け(笑)、読み返していたりしたもので、今回の震災に福島を想う時、自分が会津藩士末裔であり、20代にして天涯孤独となってしまった希有な運命を持つ性、というカルマ的なルーツへも還ってゆくんです。いろいろな不思議な話があるんですよ…茂一さんが以前、ダイアリーに書いてくださってましたよね、背負っちゃったヘヴィな家系…まったくヘヴィなんですが、正真正銘のラスト・サムライ・ボヘミアンだ、って言うと少なくともガイジンは「cooool !!」と言ってエキサイトします(笑)。
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